乳がんは遠隔転移しやすい??
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乳がんの多くは、しこりから離れた全身に癌細胞がばらまかれていると考えられています。
全身にばらまかれたものが全て成長するわけではないので、全ての人に転移が見つかるわけではないようです。
乳がんの遠隔転移
「転移」とは、がん細胞が元あった場所から血液やリンパ液を介して遠隔臓器に運ばれ、そこで新しいがんが出現することをいい、「遠隔転移」とも呼ばれます。乳がんで遠隔転移が認められた場合の病期はⅣ期と診断されます。
胸のしこりの大きさに関わらず、転移が見つかれば病期はステージⅣと位置づけられます。
転移しやすい臓器と症状
転移しやすいと言われている乳がんですが、特にリンパ節・肺・骨に転移することが多い
ようです。
リンパ節転移
乳がんが進行し、初めに転移すると言われているのが、脇の下のリンパ節です。ほかに、胸骨の内側にある内胸リンパ節に転移する場合もあります。
転移の検査は、超音波やCTで行われますが、確実に転移がないかどうかは、手術してみないと分かりません。
肺転移
リンパ節の次に転移が多い箇所として、乳房と隣接する肺への転移が挙げられます。
乳がんの肺転移は「転移性肺がん」とも呼ばれています。
肺などの他臓器へ転移が見つかった場合は、がんが全身に広がっていると考えて切除手術などは行わず、全身治療を選択することが多いようです。
骨転移
肺転移と並んで多いのが、骨転移。乳がんは頭蓋骨や頚椎、胸椎、胸骨、肋骨、腰椎、骨盤骨、手足の骨などへの転移が多いです。
骨への転移が起こると、骨を溶かしてもろくする溶骨型と細胞を増やしてしまう造骨型とに分かれます。骨折や痛み、麻痺やしびれなどの原因となるのは主に溶骨型の転移です。
これにより、骨が弱い衝撃にも耐えられなくなり、骨折してしまうことがあるのです。
乳がん 遠隔転移の治療
遠隔転移が認められた場合は、目に見えないがん細胞が他にも潜んでいる可能性があるため、体全体に効果が期待できる薬物療法(化学療法、ホルモン療法、抗HER2療法)を行うことが基本であり、通常、手術は行いません。薬物療法は、1つの治療法を行い、効果があるかぎりその治療法を続け、効果がなくなってきたら別の治療法に変更します。
遠隔転移のある乳がんでは、がんを完全に治すことはできないため、がんの進行を抑えたり症状を和らげたりしてQOL(生活の質)を保ちながら、がんと長く付き合っていくことを目標として、薬物療法を中心とした治療を行っていきます。
また、骨、肺、脳などの臓器に転移したがんに対しては、それぞれに特異的な治療を乳がんの治療と組み合わせて行うことがあります(下表)。
がんの治療を行う際にQOL(生活の質)を失うのはとても辛いことです。
主治医と相談しながら、QOLを保ち積極的な治療に挑めることが大切です。